【きょうの日】 海の詩人:ニコス・カバディアス

今日1月11日はギリシャの著名な詩人にして小説家ニコス・カバディアスの生まれた日である。

ニコス・カバディアスは1910年1月11日満州の一角、ロシアの沿海地方の都市ニコリスク・ウスリースキー(現在のウスリースク)で貿易業を営む実業家の息子として生まれた。カバディアスの両親はともにイオニア海に浮かぶギリシャ西部・ケファロニア島出身のギリシャ人で、1914年に第1次世界大戦が始まった時、一家はケファロニアへ戻り、その後しばらくして1921年にピレウスに移住した。

カバディアス:1934年8月、24歳の時。

そんなニコス・カバディアスは幼少の頃から詩作を行っていたといい、船と海が一生の夢であった彼は、当然のように船の通信士となり、長い間世界中を船とともに旅した。

その旅路の中で、もちろん日本にも寄港した経験がある彼にとって生涯忘れることのできない最も大きな出来事は、彼同様船長として船で世界中を回っていた兄弟の一人が1957年神戸港に停泊した船の船室で自ら命を絶ったことである。

彼はつねに作品の中で、大海原をゆく船とともに生きる一生について、ある時は知り合った船員たちについて、またあちこちの港で繰り広げられる愛憎、喧嘩、死について、またある時は彼自身が経験した船旅での冒険についてつづっている。

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カバディアスの旅と海へのあふれる愛はその言葉の端々に見出すことができる。

たとえば、船舶についての知識に乏しい一般の読者には理解できないような船員用語や船舶の専門用語を多用しつつも、読む人はみな彼の言葉が織りなす不思議な雰囲気に魅了されてしまうのだ。

船と海を心から愛したカバディアスは1975年2月10日脳卒中で65年の生涯を閉じた。

詩人の死から3年後、ギリシャの有名作曲家のひとりであるサノス・ミクルツィコスが自身のアルバム『スタヴロス・トゥ・ノトゥ(南十字星)』の中でカバディアスの詩のいくつかに曲をつけて発表した。これらの曲の発表により、ニコス・カバディアスはさらに広い世代の人々に知られるようになり、特にギリシャの若者たちに深く愛された。

カバディアス作詞、サノス・ミクルツィコス作曲で世に知られる歌の中には、ニコス・クトラスの歌うその名も『黒潮(原題:KURO SIWO)』と名づけられた歌がある。

「南方へ向かう船/厳しい夜勤、浅い眠り、それとマラリア…」と始まるこの歌には、船を愛し、海を愛し、旅を愛した詩人と日本との時を超えた意外な接点が込められている。

Το άγαλμα του Νίκου Καββαδία στην Κefalonia (photo από Wikipedia)

ケファロニアにあるニコス・カバディアスの銅像。 (写真:Wikipedia)

 


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永田 純子

永田 純子

GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbyweb 、および 英語版ニュースのGreek.world の共同創設者。

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