しがしが留学記・番外編:福田沙也加のギリシア語留学(後編)

福田沙也加氏の「留学記」番外編、先日公開した前編に続きいよいよ後編を大公開!どうぞお楽しみください!

・福田耕佑のテッサロニキ「しがしが」留学記:過去記事はこちらから!


こんにちは。前回に引き続き夫に代わりまして、後編を書かせていただきます福田沙也加と申します。今回は2020年3月、いよいよコロナ禍の猛威がギリシアにやって来てからの、学校や日常の生活がガラリと変わっていった中で行なわれたギリシア語の授業について書いていきたいと思います。最後までお付き合いよろしくお願いいたします。

・コロナショック

2020年3月に大学が閉鎖され、対面での授業ができなくなりました。授業がどうなるのかなぁと思っている間に、すぐにクラスの先生からメールで連絡があり、Skypeで授業をすることになりました(この期間の事については夫が詳しく記事を書いているのでそちらもご参照ください)。Wi-Fiの調子が良くなくて授業を受けることが出来なかったり、この期間は小学校も閉鎖してオンラインで授業を行なっていたりしたので、子供のいる家庭はギリシア語の授業に出席するのが難しく参加できる生徒も限られてきました。また、対面ではないため、インターネットの電波の関係で先生や生徒が話している言葉が聞き取れないこともあり、また双方向の授業ではなく先生が一方的に文法の説明をして生徒に確認しながら進行していくスタイルに切り替わったので、先生にも生徒にもストレスが多かったように思います。とにかく皆が自由に話すことができないSkype授業という環境にあって会話練習をするのに手こずり、生徒たちが理解しているのかどうかを先生が把握するのも大変そうでした。

ペアになっての会話練習も難しくなり、ギリシア語で会話する頻度がコロナ前より極端に減ってしまいました。この時、外出制限もあったので、私がギリシア語で話す機会はこの授業のみでした。エラスムス奨学生たちはギリシア語ができるので、進行速度に不満があり、もっと早く文法の説明をしてどんどん先に進んで欲しいと提案していましたが、元からいた生徒たちはこのままでいいと言ってかなり口論のようになってしまいました。しかし、こういうことは毎年あるらしく先生を中心に話し合い決めていきました。先生が一方的に授業進度を決めるのではなく生徒一人一人にどのくらいの進度が良いか聞いて話し合い、みんなが納得できるように共にまとめていく状況に私も参加しながら、ここに私たち日本人とのメンタリティの違いを感じたような気もしました。しかもオンライン上でちょっと難しい問題の話をすることにも抵抗がなさそうでした。その後は特に揉めることなく授業は進んでいきました。

2020年6月に授業が終了する時は夏休み期間で、ギリシア全土で外出制限が緩和されたので、最後の授業はクラスでカフェに集まり最後の挨拶を行ないました。この一年間ではA1(初級クラス)から始まり、A2の内容も全て終わらせてB1(中級クラス)の文法を少し学ぶくらいで授業は終了しました。

・二年目突入―オンライン授業

2020年10月からのギリシア語B1(中級クラス)授業に申し込み、ネット上でレベルテストを受けました。今回は初めからオンライン授業ということが決まっていました。メールでどのクラスを受講するのかお知らせがあり、後に受講する授業のZoomのアドレスが送られてきて、当日授業に参加することになりました。

レベルテストでクラスが割り振られていたはずですが、初回の授業で先生と生徒たちがオンライン上で会って挨拶をして先生と会話を行ない、テーマに沿った文章をギリシア語で書き、B1の授業を受講できるかどうか先生が判断しました。それで再度先生がA2やB2等それぞれにあった授業に行くように指示していました。もちろん反対にB2からB1に降りて来る人もいました。私はギリシア語を話すことがまだまだでしたが文法は身についていたようで、何とかB1の授業を受けることができました。実は授業の先生にはA2の授業を受けてみたらどうかとは勧められましたが、この授業の曜日と時間がちょうどよかったのでここで頑張りますと主張して残らせてもらいました。最初は文法を習いつつ、2人または3人に分かれてロールプレイングをしました。オンライン授業を継続して行なうことになっていったため、授業の先生もオンライン授業の仕方を勉強し、ロールプレイングも授業中にできるように方法を開発していました。この授業では、ギリシア語が読めて書けるだけではダメで、自分の言いたいことも話せるように、ロールプレイングが授業のたびに設けられていました。私はこれが苦痛で苦痛で仕方ありませんでした。なぜならギリシア語をどう並び替えて話したらいいか、まだ頭の中で組み立てることができず、思うように話せず苦しかった記憶があります。会話練習がない日はほっと胸を撫で下ろす日々が続きました。それでも、何とか授業には休まず毎回参加して勉強しました。前回と同様宿題は山のように出ていました。習った文法が覚えられるように、授業中に使用しているテキストに十分な量の練習問題がなければ、先生が持っている別のギリシア語のテキストの練習問題の抜粋からの宿題だったり、また習った単語の意味を理解するために先生が作成した穴埋め問題の宿題をしたり、多くの問題を解いて文法や単語を覚えました。とにかく同じような意味の単語が多くあり、ややこしいです。例えば、ある一つの動詞でも、物に使う場合はこの過去形、人に使う場合はこの過去形とか、色々あります。次から次へと新しい単語が出てくるので、覚えるのに苦労しました。今も単語を覚える毎日です。

授業も中盤に差し掛かると、ギリシア語を使った遊びも行なうようになりました。ある一枚の絵を見て、“α”で始まる絵の単語を制限時間内に書いて、何個正解しているかを競うものだったり、何枚かの絵がある中で一人一枚絵を選び、その絵から物語を想像してその物語の一部をギリシア語で話し、みんなでその人がどの絵を選んだか当てるというものをしたりしました(Dixitというゲームです)。色々な遊び方があって面白かったのと、“α”や“π”など始まる文字が限定されると案外単語を思い出すのが難しかったです。またギリシアでガイドをしているギリシア人がテッサロニキやペラやヴェルギナの観光案内をオンライン上で行なってくれました。コロナがない時は、テッサロニキだと古代ローマ・アゴラやロトンダを歩いて回り、実際の建築物や遺跡、展示物を見ながら詳しい説明をしてくれます。今回はコロナ禍のため、オンライン上でのガイドになりましたが、授業最終日に外出制限が緩和されたことにより、私のクラスは外に出て、ガイドの方にテッサロニキを2時間程案内していただきました。今回も仕事やビザや様々な事情により最終的に生徒数は4人にまで減っていました。オンライン上の授業だと休み時間に生徒同士で話す時間もなく、中々友達という関係にまで発展するのが難しいと感じました。

授業で行った古代ローマ・アゴラ

・二年間ギリシア語を学んでみて

ギリシア語を勉強してみて、新しい単語が出る度に先生がこの単語はギリシア語からやフランス語からなど語源まで教えてくれたので、面白かったです。それと共に、フランス語やトルコ語などを知っていると同じような単語が多く覚えやすくて羨ましいなぁと思いました。私が中学生で英語を勉強した時は、とにかく単語は機械的に暗記して覚えていたので語源まで頭が回らなかったのですが(そもそも覚えられませんでした)、今回は文法はまだまだ難しいですが楽しみながら学べました。ところで、私は韓国語を勉強したことがあるのですが、韓国語は文法や漢字に由来する単語が日本語と似ている部分が多くて割と学びやすかったのですが、逆にギリシア人が母語とはほとんど共通の要素の無い日本語の文字や文法を勉強して漢字や平仮名、カタカナを使い分けるのは本当に大変そうだなと思いました。

私は料理が好きなので、ギリシアに住むと現地の料理に興味を持ち、スープや煮物などどうやって作るのか知りたくなりました。もちろん、ギリシアに住んでいる日本人の方が分かりやすく簡単に作れる作り方をネット上に書いてくれているので、それを参考に色々なギリシア料理を作ることもできました。最近では、YouTube上にギリシア人のシェフの方たちも料理をあげてくれているので、色々な人の作り方をギリシア語で見て、作り方を真似することもできるようになりました。またギリシア語が読めて聞けるようになるとギリシア語の子供用の本や料理本、そして前回夫が紹介したギリシア語を学ぶ外国人のための本も読めるようになっていき楽しみが増えていきました。ところで、ギリシア人も日本人と同じくイベントが大好きです。タラの天ぷらを食べる日や復活祭前の断食前の肉を食べる日などイベント毎に食べる物が決まっていて、その日しか食べない物もあり、それに合わせてお店に買いに行くこともありました。

3月25日に食べるタラの天ぷら(美味しいタヴェルナのΜωσαϊκό Γεύσεωνより)

最後にギリシア語をどのように身につけていったかについて書きたいと思います。夫はフランス語や古代ギリシア語、トルコ語でどうのこうのと考えるのが好きですが、私は他の外国語の知識を用いずギリシア語はギリシア語として授業の先生が教えてくれるまま覚えるようにして勉強していきました。ギリシア語の授業とその宿題をするのは必須とし、他には授業で使用しているテキストに出てきた単語と文法をいらない紙に何度も書いて覚えたりもしました。ギリシアで買った他のギリシア語のテキストも参考にして、宿題以外にも個人的に練習問題を解き理解できるように努力しました。また、ラジオを聴いたり、YouTubeでギリシアのニュースを聴いたりすると同じ言葉を毎回使うこともあり、聞き取りと単語を覚えるよい機会になりました。今回はコロナ禍で普段なら絶対覚えないであろう「隔離」(カランディナ)というギリシア語の単語も覚えることになりました。何よりコロナ禍で遊びに出かけられないため必然的にギリシア語勉強に力が入りました。今回のB1の授業では最終的に、B2の知識に含まれる範囲まで授業で習うため、大学が実施しているB2の試験を受けてみることにしました。この試験に合格すると、大学の正規課程に申し込めるだけのギリシア語力があると認めてもらえるそうです。試験に申し込んでから試験までの1ヶ月間、過去問題集を購入してリスニングや試験出題様式に慣れるため毎日過去問題を1回分解いていきました。試験1週間前はギリシア人の友達にも協力してもらい毎日30分ギリシア語で話す練習もしました。その甲斐あってかギリギリの点数ですが何とか試験に合格することができました。日本に帰国する前の一つの大きな区切りとなりました。

(左から)B1の授業のテキスト、B1の授業の問題集、大学のB2の試験の過去問集

今回現地でみっちりとギリシア語を学ぶことができ、楽しかったので続けて勉強していきたいと思います。夫の研究や仕事がどうなるかわかりませんが、またギリシアに住むことができるようになればいいなぁという希望を残しつつ。今回はギリシア語でしたが、母国語以外の言語に挑戦してみるとそこから派生して料理やその国の歴史や他のところにも関心がいき、どんどん新しいことを知る機会にもなるのだなと改めて思いました。
前編と後編に渡って私が経験したギリシア語勉強を書かせていただきました。最後までお読みいただきありがとうございました。

写真 © 筆者提供

 


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福田  沙也加

福田  沙也加

福田沙也加です。福田耕佑の妻で、夫の研究のためギリシアのテッサロニキに共に留学し、ギリシア語を勉強しています。趣味は料理、ギリシア語以外には韓国語が少しできます。

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