しがしが留学記:ギリシアの山を旅して-ザゴロホリア編

ザゴロホリアの村の風景

ギリシャ第二の大都市・テッサロニキのアリストテリオ大学哲学部で訪問研究員生活を送る福田耕佑が、ギリシャ滞在生活を通じた留学記をつづる「しがしが留学紀」。今回はギリシャの名水の故郷・ザゴロホリアをご紹介します!


Γεια σας(ヤア・サス)!皆さん、こんにちは!テッサロニキ大学は哲学部に留学中の福田耕佑です。東京オリンピックは無事に閉幕しパラリンピックがいよいよ始まろうとしているこの頃ですが、ギリシアはとても暑いです。過去にこんなにも暑かったことがなかったほど暑かったらしく、四十度を越えようという勢いで気温が高くなった日もありました。

こんな熱い日はギリシアの島や海に行くのもよいですが、ギリシア人や外国人を含め本当に大勢の人がそこに押し寄せており、これらの場所には何だか清涼感が足りないような気もしてしまいます。今回も前回や前々回に引き続き、あまりまだ観光地としては知られておらず多くの日本人が訪れているとは言い難いギリシアの美しい山村の中から、ザゴロホリア(Ζαγοροχώρια)を紹介させていただければと思います。

ギリシアを旅したことがある方なら、ザゴリ(Ζαγόρι)やヴィコス(Βίκος)というラヴェルの貼ってあるミネラル・ウォーターをスーパーなどで見たことある方もいらっしゃるかもしれません。まさに、これらのミネラル・ウォーターの故郷がこのザゴロホリアにあり、私たちもそこから出ている源泉から水を汲んできました(笑)。

(※ヴィコス渓谷周辺の地図は文末に掲載しています。ぜひご覧ください!)

ザゴロホリアはギリシア北部のイピロス地方、ヨアニア市から程近いザゴリ地区にあり、このザゴリ地区に位置する四十以上の村々を総称してザゴロホリアと言うそうです。私たちはこの村々の中の一つであるモノデンドリ(Μονοδένδρι)やヴィッツァ(Βίτσα)に滞在し、ヴィコス渓谷(Φαράγγι του Βίκου)を歩きました。ザゴロホリアへは自家用車がなかったので、クテル・ヨアニナ(市と市を結ぶバス・センター)からモノデンドリ行のバスに乗って行きました。毎日便が出ているわけではなく、その時はバスの情報も口頭で教えられるだけだったので本当に行けるか不安でしたが、実際に着いて見ると美しい村々が広がっていました。

モノデンドリのホテルより
モノデンドリのホテルより

村々の様子はこのような感じです。冬の方が主にギリシア人を中心に観光客が多いようですが、夏は夏で山登りやハイキングに来ている大勢のドイツ人やその他の国々からの人々がいました。私たちも村で涼しい気温の中、静かな時間を過ごすことができました。

早朝ホテルのお兄さんに、ヴィコス村まで送って行ってやるから、ヴィコス渓谷を踏破してモノデンドリまで帰って来いと言われまして、深く考えず言われるがままに車に乗せられてハイキングのためにヴィコス村に行きました。

晴れていく霧
霧が晴れた

朝は霧が立ち込めていてこれは落ちたり転んだりしたら軽く死ぬなぁ、なんて思いつつとことこと山を登ったり下りたりしながら道に迷わないように先にどんどん進んでいきました。

すると、太陽が出て来て空が晴れ渡り、少しずつ美しいザゴリの渓谷が見えてきました。私たち以外にもギリシア人やドイツ人などの数団体がこの渓谷をハイキングしていました。特にドイツ人はおじいさんやおばあさんがそれぞれの足取りでどんどんと先へ先へと進んでいくのがとても印象的でした、というよりびっくりしました。

合計六時間ぐらいかけてモノデンドリまで渓谷を歩いて帰ってきました。途中で水を汲んだり、何頭もの鹿に会って肝を冷やしたりと色々ありましたが、おいしい空気を吸いつつとてもいいハイキングを楽しむことができました。
また美しい村や渓谷以外にも、例えばヴィッツァ等の村には中世や近世の美しい石造りの橋が残されており、こちらも一見の価値があります。

ヴィッツァの石橋

今回は以上になります。あまり学術に関するような内容はないのですが、とにかくおいしい空気と美味しい水を味わうことが出来、人生の中でとても大切な瞬間の一つになりました。もし、ヨアニナやケルキラ島などのギリシア北西部に行く機会がありましたら、また三、四日でも取ってザゴロホリアを訪れてみてください。今回もお読みいただきありがとうございました。また次回、Γεια σας(さようなら)!

アギア・パラスケヴィ教会
アギア・パラスケヴィ教会

 

 

福田耕佑のテッサロニキ「しがしが」留学記:過去記事はこちらから!

Photos:筆者提供

 

福田 耕佑
福田 耕佑
一九九〇年生まれ。西洋哲学史(とりわけスピノザ)と近現代ギリシア文学(主にカザンザキス)を京都大学にて、および客員研究員としてテッサロニキ大学で学んだ。就実大学人文学部講師。『ニコス・カザンザキス:極東の視線』(エレナ・アヴラミドゥ編、エネケン、二〇一九年)において「カザンザキスとギリシア性」をギリシア語で執筆しているほか、京都大学に提出した博士論文を「卓越した課程博士論文の出版助成(令和6 年度)」を受け、『ニコス・カザンザキス研究-ギリシア・ナショナリズムの構造と処方箋としての文学・哲学』(松籟社、二〇二四年)として出版した。主な翻訳に、ニコス・カザンザキス『禁欲』(京緑社、二〇一八年)、同著者『饗宴』(京緑社、二〇二〇年)、また日本ギリシア文化観光年二〇二四年を記念してギリシア国観光省の助成で刊行されたニコス・カザンザキス『日本旅行記(対訳、カザンザキス・旅する 日本)』(ディオプトラ出版、二〇二四年)、日本ギリシア文化観光年二〇二四年を記念してギリシア国文化省と外務省の助成によって刊行された、ギリシア共和国国家文学賞受賞作品のアンソロジーである『現代ギリシア詞華集』(竹林館、二〇二五年)。二〇二三年には国際カザンザキス友の会よりカザンザキス作品紹介の推進および同会への貢献に対して「特別賞」が贈られた。

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