ヨルゴス・マルセロス:1964年東京五輪の第一聖火ランナー、GreeceJapan.comに語る

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アルヘア・オリンピアで巫女のアレカ・カツェリから聖火を受けるマルセロス / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

あと約1か月後に迫った2020年3月12日(木)オリンピック聖火がギリシャのアルヘア・オリンピアで採火され、東京への長い旅路が始まる。採火式で巫女役を務めるクサンシ・ゲオルギウから聖火を受け取るのはリオ五輪で金を獲得した女子射撃のアナ・コラカキ選手で、 史上初の女性第一聖火ランナーとして歴史にその名を刻むことになる。

このまさに同じ場所では、今から56年前の1964年8月21日にも同じように東京大会の聖火が灯されたが、この聖火を当時の巫女役アレカ・カツェリから受け取った第一聖火ランナーがヨルゴス・マルセロスその人だ。彼は第一走者としてだけでなく、1964年10月10日東京の旧国立競技場で行われた開会式ではギリシャ選手団の旗手をも務めた。

そんなマルセロス氏は1936年(昭和11)生まれ。陸上の走り高跳び、十種競技の選手であり、また1964年東京大会ではギリシャ代表選手の一人として男子110mハードルに出場した経験を持ち、1975年から1982年までギリシャ陸上競技連盟(SEGAS)の理事長としても活躍した。

今回はそんな1964年東京五輪の第一聖火ランナー、ヨルゴス・マルセロス氏にお話を伺う機会を得ることに成功。半世紀を経て鮮やかに甦る当時の貴重な思い出をGreeceJapan.comの読者に向けて語ってくれたことに感謝したい。

聞き手:永田 純子 – GreeceJapan.com

アルヘア・オリンピアでの採火式に臨むカツェリとマルセロス / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

1964年、アルヘア・オリンピアで聖火の受渡式が行われました。当時のギリシャ王コンスタンディノスが臨席する受渡式で、私はオリンピック聖火を灯した聖火トーチを受け取り、近代オリンピックの創立者であるピエール・ド・クーベルタン像までの距離を走ったのです。像の前でカンテラに聖火を移した後、私は二人目の聖火ランナーへ聖火を手渡すまでのあと500メートルあまりを走り続けました。そしてここで、後に東京でも会うことになる読売新聞の記者であるフクナカ氏と出会いました。

photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

私はこの大会で、オリンピック開会式の入場行進で常に先頭を歩むギリシャ代表団の旗手を務めました。開会式には当時の裕仁・昭和天皇が臨席され、高らかに開会を宣言されました。

旗手のマルセロスを先頭に国立競技場に入場するギリシャ代表選手団 / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

最終聖火ランナーを務めたのは広島に原爆が投下されたまさにその日、1945年8月6日に生を受けた坂井義則(1945-2014)氏で、彼とは東京だけでなくアテネでも会うことが出来ました。彼は聖火トーチを手に、大会期間中絶やされることなく聖火が灯される聖火台への階段へと登っていったのです。

東京での私に対する歓待は素晴らしいものでした。ここで改めてお話しておかなければならないのは、当時アテネから東京までの旅に3日もかかったということです。私が搭乗したKLMオランダ航空は、アテネを出発してカイロ、バーレーンを経てパキスタンのカラチに到着し我々はここで一泊、次の日に再び飛び立ち、カルカッタ、バンコク、マニラを経てやっと東京へ到着したのです。そこで我々ギリシャ代表選手団を待ち受けていた世界中から集まった数え切れない報道陣の中には、アルヘア・オリンピアで知り合った読売新聞のフクナカ記者の姿もありました。このフクナカ記者と一緒に、私は最終聖火ランナーの坂井義則氏と知己を得ることが出来ました。それは素晴らしい出会いでした。

坂井義則とマルセロス / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

1964年東京五輪・110mハードル予選を走るマルセロス(左から3人目)/ photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

どのような種類の国際的なスポーツの祭典を催しても、日本は常に大きな成功を収めて来ました。1964年のこの時も、かの国は第二次世界大戦から復興を果たし立ち上がりました。日本政府はオリンピック大会における卓越した運営手腕をもって、その素晴らしさと有能さを世界に広く示したのです。

ヨルゴス・マルセロス

1964年8月21日に行われたアルヘア・オリンピアでの採火式の様子 / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

1964年東京五輪の聖火引継式が行われたパナシナイコスタジアム / photo: ヨルゴス・マルセロス氏所蔵

 

永田 純子

永田 純子

GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbyweb 、および 英語版ニュースのGreek.world の共同創設者。

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