【ギリシャ・音楽・歌】第8回:ヴィッキーとベッシー~日本で活躍したギリシャ人女性歌手~(Video)

(左)ヴィッキー・レアンドロス、(右)ベッシー・アルギラキ

(文:永田純子)

ギリシャ人歌手としては、1994年に来日したハリス・アレクシウやナナ・ムスクーリといったアーティストがその名を知られていますが、実際に日本を舞台に芸能活動を行い、日本でレコードをリリースしていたギリシャ人歌手がいたことを知る方はそう多くはないでしょう。

そのギリシャ人歌手とは、英語やフランス語をはじめ日本語の歌まで幅広いレパートリーを持ち、日本でも多くのレコードをリリースしたヴィッキー・レアンドロスと、流ちょうな日本語で80年代王道の歌謡曲を歌ったベッシー・アルギラキの二人の女性歌手です。

ヴィッキーは本名をバシリキ・パパサナシウといい、1949年(昭和24)ギリシャ・ケルキラ島(コルフ島)生まれ。音楽家・プロデューサーのレアンドロス・パパサナシウを父にもち、9歳の時両親とともにドイツに移住。60年代から歌手としてのキャリアをスタートし、1976年(昭和51)のユーロビジョン・ソングコンテストで「恋はみずいろ(L’amour est bleu )」を歌って4位を獲得。この歌で世界的に有名となった彼女はその後日本でコンサートを開催。「待ちくたびれた日曜日(作詞:小園江圭子、作曲:村井邦彦)」や「夜霧のなかで(作詞:なかにし礼、作曲:川口真)」といった日本語歌謡を含め、60年半ばから70年半ばまで数多くのレコードをリリース。今も日本に多くの熱烈なファンをもち、その音源はベストセレクションとしてCD化されています。

【ヴィッキー・レアンドロス/夜霧のなかで】…なかにし節が泣かせる歌謡曲。

ベッシーは1957年(昭和32)アテネ生まれ。70年代から歌手としてのキャリアをスタートさせ、1977年(昭和52)のユーロビジョン・ソングコンテストにパスハリス、マリアナ・トリ、ロバート・ウィリアムズとともにギリシャ語ポップス「マシマ・ソルフェージュ」で出場、5位を獲得。その後1981年(昭和56)3月に日本武道館で開催された第10回東京音楽祭に「ト・シ・ヒ・コ(作詞:竜真知子、作曲:服部清)」で出場し銀賞を獲得。この歌はレコードとしてB面曲「あなたにメルシー(作詞:竜真知子、作曲:丹羽応樹)」とリリースされヒットを獲得しました。その後「ト・シ・ヒ・コ」を含むアルバム『シングズ(1981)』がリリースされ、「愛の再会(作詞:竜真知子、作曲:服部清)」や「飛びたてば地中海(作詞:竜真知子、作曲:服部清)」といった日本語歌謡を披露しました。

【ベッシー・アルギラキ/ト・シ・ヒ・コ】

そして彼女たちが残した縁は意外な形で実を結ぶことになります。ベッシーの日本語歌謡の作詞を数多く手掛け、狩人の大ヒット作「あずさ2号」で知られる作詞家の竜真知子氏は、1986年(昭和61)アニメ『聖闘士星矢』の主題歌「ペガサス幻想」を発表。ベッシーとの交流に少なからず影響を受けたであろうこの曲は、密かにギリシャと日本のつながりを今に伝えているのです。

ヴィッキーは70年代に、ベッシーは80年代初めに、日本で歌手として活動しました。ふたりはギリシャ語の歌こそ歌いませんでしたが、演歌とともに日本が誇る歌謡曲のジャンルに果敢に挑戦、確かな歌唱力で日本人の心に消えない印象を刻みました。ふたりが日本に残した歌の数々は今も色あせることなく私たちの心に語り掛けて来るのです。

【CD・Record Data(※文中の紹介順)】

「恋はみずいろ~ヴィッキー・ベスト・セレクション」(CD/ユニバーサル インターナショナル/2002年)
「ト・シ・ヒ・コ/あなたにメルシー」(レコード/ポリドール/1981年)

永田 純子

永田 純子

GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbyweb 、および 英語版ニュースのGreek.world の共同創設者。

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