映画「笠間焼」、第17回テサロニキ・ドキュメンタリー映画祭で上映

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「21世紀の映像(イメージ)」と題してギリシャ・テサロニキ市で2015年3月13日(金)から22日(日)まで開催される第17回テサロニキ・ドキュメンタリー映画祭(17th Thessaloniki Documentary Festival )で、日本人映画監督・小久保由紀(こくぼ・ゆき)のドキュメンタリー映画「笠間焼(英語題:KASAMAYAKI (MADE IN KASAMA)/ギリシャ語題:シンバン・スティン・カサマ)が公式上映される。

映画の舞台は2011年の大震災による津波と原発事故により深刻な被害を受けた福島県からそう遠くない茨木県の笠間市。映画では、故郷・笠間に帰郷した小久保監督と陶芸家の父・小久保勝司(こくぼ・かつじ)さんと恵子(しげこ)さんとの日々を丁寧に描いている。

テサロニキでの上映を前に、1986年からニューヨークに暮らす小久保監督がGreeceJapan.comに自身初となる長編映画「笠間焼」について、またギリシャを訪れるに至った理由について語ってくれた。

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小久保由紀監督

・Greek Text

なぜギリシャ・テサロニキをプレミア上映の地に選ばれたのですか。

私がテサロニキ・ドキュメンタリー映画祭をインターナショナル・プレミアの地に選んだのは、テサロニキが優れた映画祭のホストとしての長い歴史を持っているからです。1999年に始まったこのドキュメンタリー映画祭には毎年世界中から様々な良質のドキュメンタリーが集まるだけでなく、映画産業に携わる数多くのプロフェッショナルたちも集結する出会いの場でもありますから。それに、私は小さい頃からいつかギリシャを訪れたいと願っていたので、その夢が今叶ったということにもなりますね。

映画についてご紹介をお願いします。

2011年に発生した東日本大震災と福島第1原子力発電所事故のあと、16歳の時に私をニューヨークに置いて帰国して以来疎遠だった両親との関係を再構築するために、私は日本へ帰国しました。両親は、私が8歳まで過ごした茨木県・笠間市の農村の芸術家コミュニティの中で暮らしています。映画「笠間焼」では、私の家族の困難な過去だけでなく、震災後の日本における生活にどのような感情的な影響が及んだのかについても描写しています。映画の中で私の両親は、日本人であることが何を意味するのかについて―「侘・寂(わびさび)」の持つ意味と、陶芸がどのように自然と調和しつつ移りゆく伝統的な日本の生活様式を表現するのかについて、私に教えてくれているのですが、何よりもまず二人は、私に人生の中で辛い体験を克服するためにはどのように創造性を発揮するべきなのかということを私に教えようとしているのです。観察者の視点から撮影された「笠間焼」は、人生、死、家族、そして芸術におけるひとつの考察なのです。

2011年の震災と原発事故の被害を受けた地域へ訪れたあなたの思いとその時の印象についてお話しいただけますか

私が子供の頃訪れたことのある思い出の浜を含め、日本の多くの海岸線沿いの地域が津波により大きな被害を受けました。
震災の後私がはじめて故郷へ戻った時、私の父と私は最も大きな被害を受けた北部地域へ車で訪れることに決めたのです。
昼頃に女川町に到着した私たちは1時間余り周辺を歩いて時を過ごしましたが、かつて街があった場所がぽっかりと何もなくなっている様子を見て私は思わず息を飲みました。6階建てのビルは横倒しになり、巨大なオイルタンクは浜に打ち上げられ、漂着物や腐敗物の匂いが鼻を突いていました。若い時この街を訪れたことのあった父にとって、それはあまりにも辛い光景だったのです。あまりに多くの命が一瞬にして奪われた地にたたずんだ時、たとえその時私がどんな困難に直面していたのだとしても、生きていることに感謝しなければならないのだということに気付かされたのです。

ギリシャ映画はご覧になったことはありますか。あなたの好きなギリシャの映画監督をあげるとすれば誰でしょうか。

私はそれほど多くのギリシャ映画を観たことはありませんが、私の最も好きな映画の一つがリュック・ベッソン監督の「グラン・ブルー」です。この映画の大部分は1960年のギリシャの島が舞台になっているのですが、そのあまりに美しい風景と海中の様子を写し取ったショットは、いつか写真か映画に携わりたいという夢への最初のきっかけになりました。そうして写真の世界に何年か携わった後、私は映画の世界に足を踏み入れました。今はとても幸せです。

ギリシャを訪れたことはおありですか?

今まで一度もギリシャを訪れたことがないので、実は今回の旅にとても興奮しています。私の小学生の頃の友達の一人がギリシャのキティラ島で中学1年・2年を過ごしていた時、私たちは文通をしていました-そう、まだ誰もが手紙を書いていた頃のことです。彼はいつも私に島での生活について描いたものを私に送ってくれました。古代遺跡、鳥たち、植物、そして彼が海岸で見つけた貝殻などが描かれた絵に、私はとても魅了されたのを覚えています。

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[ 映画クレジット ]

監督:小久保由紀
撮影監督:小久保由紀
編集:小久保由紀, Keiko Deguchi
音声: Michael Suarez
音楽:Jesse Peterson
プロデューサー: 小久保由紀
製作:Ocarina media LLC, USA
フォーマット: DCP カラー
アメリカ・日本合作
上映時間: 78分
製作年:2014
配給: Ocarina media LLC, USA

[ 上映日時 ]

2015年3月16日(月)17:45-/ジョン・カサベテス劇場
2015年3月17日(火)15:30-/スタヴロス・トルネス劇場

・第17回テサロニキ・ドキュメンタリー映画祭/「笠間焼」上映情報

    永田 純子

    永田 純子

    GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbyweb 、および 英語版ニュースのGreek.world の共同創設者。

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