GreeceJapan.com独占インタビュー:ルカス・カラツォリス駐日ギリシャ大使

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様々な分野で日本におけるギリシャの存在感が深まりつつある中、ギリシャにおける日本の存在感もまた同様に強まりつつある。

来年2019年にはギリシャ・日本修好120周年の節目を迎えるだけでなく、続く2020年には1964年以来50数年振りに東京でオリンピック・パラリンピック大会の開催が控える今、ギリシャ・日本の活動の最前線に立ち奮闘する駐日ギリシャ大使のルカス・カラツォリス氏にその挑戦とこれからの展望について語っていただいた。

インタビュー:Junko Nagata / GreeceJapan.com

2019年(平成31)ギリシャは日本との間に1899年(明治32)に結ばれた修好通商航海条約の締結から120年という節目の年を迎えます。この二国間の外交関係の始まりを祝う記念すべき年に、どのような計画をお持ちでしょうか。

現在駐日ギリシャ大使館では次のようなイベントを計画しているところです。

  • 1月:東京・サントリーホールにて、ギリシャ人女性歌手とフォークダンスグループ「KEFI」との共演によるジャズピアニスト・ケイコ・ボルジェソン氏のコンサート
  • 夏:古代ギリシャの格言を題材にした日本とヨーロッパのカリグラフィー教室の生徒による展覧会
  • 9月:彫刻家・野田正明氏の作品を東京都新宿区の小泉八雲記念公園に設置
  • 今年に続きオリンピック・トーチ展の開催
  • ギリシャと日本のオリンピック・メダリストによる講演会並びにシンポジウム
  • 都内にて、学生参加による古代オリンピック競技の紹介

2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会では、ギリシャのホストタウンとして埼玉県三郷市が選ばれています。ギリシャと三郷市とのつながりについてお話いただけますか。

駐日ギリシャ大使館と三郷市とは、2014年度の「みさとシティハーフマラソン」より素晴らしい協力関係が続いています。同市主催のイベントへの参加はもちろん、昨年は市内の公立小中学校の内9校を訪問し、古代オリンピックの歴史について授業を行いました。生徒からの反響が非常に良く、来年までこの活動を続ける予定です。

(左)カラツォリス大使と木津雅晟・三郷市長/(右)優勝者らにオリーブの冠を授与するカラツォリス大使

今年三郷市での最大のイベントは、何といっても、7月28日(土)から8月12日(日)までららぽーと新三郷で開催されるトーチ展「オリンピックの聖火‐オリンピアから東京へ」でしょう。過去の大会で使用された数十本ものオリンピック・トーチを間近でご覧いただける、またとないチャンスです。まさにオリンピック・スピリットを体感できるイベントと言えます。

11月にはギリシャと日本のオリンピック・メダリストによるシンポジウムを共催します。市民の皆さまが、トップアスリートと触れあうことで彼らの努力や経験を学び、どうすれば人は世界の頂点を極めることができるのかについて、何らかの人生の教訓を得ると嬉しいです。

2020年東京オリンピック・パラリンピック大会に関連して、東京や三郷市以外の日本各地でもイベントを開催される計画はおありでしょうか。

今お話ししたトーチ展とシンポジウムは、今年、三郷市のほか4都市でも開催します。ギリシャへの関心が非常に高まっている今だからこそ、日本の皆さまに我が国をもっと身近に感じていただける好機だと捉えています。展覧会やシンポジウムの他にも、東京オリンピックに向けこれからの2年間、様々な提案を具体化していこうと考えています。

ギリシャを訪れる日本人観光客の数は、歴史的価値のある古代遺跡や美しい自然といった高い価値を持つ観光の目的地として世界的に有名であることを鑑みれば、十分であるとは言えないでしょう。このような状況を打開するためにギリシャはどのような施策を考えておられるのでしょうか。

近年ギリシャへの観光客数は年々記録を更新し、3千万人に達するところですが、日本人だけでみると非常に少なく、年間約4万人が現状です。しかし今年はかなり伸びると予想されます。実は、ギリシャだけでなく日本から遠いヨーロッパ諸国が頭を悩ますのは、日本人の最近の旅の傾向は、特にアジアやハワイなどの近距離で、且つ、日程も4-5日と短いということです。そこで大使館としても様々なPR活動を展開しました。旅行業界向け観光セミナーの開催や、B to Bのワークショップへの参加、2度にわたる業界向けギリシャ研修旅行の催行、3月には日本語でのギリシャ紹介パンフレットも、10年ぶりに発行しました。この結果、素晴らしい反響を得たのです。

貿易・商業的な側面から見たギリシャと日本の状況についてお聞かせください。また、日本に輸出されているギリシャの生産品にはどのようなものがありますか。

貿易部門では大きな進歩が見られ、特に薬品、燃料、アルミニウム、綿、食料品や酒類の対日輸出が2017年(平成29)は70%増えました。我が国のこうした生産品の普及に、大使館も甚大な努力を重ねています。例えば、日本の業界関係者を対象としたビジネス・ミッションを定期的にギリシャに派遣したり、日本人輸入業者をギリシャの物産展に招待したり、また、日本国内では、大規模な食品展に毎年出展しています。もちろん、すでに成果が実りつつあるギリシャワインの一連のプロモーションも怠ってはいません。こうした活動を推進するには、エンタープライズ・グリース(投資&貿易サービス機関)及びギリシャの関連団体との緊密な連携が欠かせません。

ギリシャの投資環境は、日本企業を誘致するために適していると言えるでしょうか

日本の企業は一般的に、物事の選択に保守的であり慎重です。ギリシャには大規模な日本からの投資はほとんど見られません。他国が投資のチャンスに太鼓判を押したとしても、日本がそれに追随することはなかったのです。しかし、つい先日、それを覆す例がありました。日本たばこ産業がギリシャの重要なたばこ生産工場を買収したのです。
ギリシャでは今や、観光や物流、エネルギー生産、エネルギーネットワーク、食品産業などの分野への投資が、最も注目を集めています。

近年のギリシャは経済危機、難民問題、周辺諸国との緊張の高まりといった様々な困難に直面しています。このような状況の中で、ギリシャは近いうちに経済危機から脱することが可能であるとお考えでしょうか。

ギリシャは何時も、東地中海における安定した平和な民主主義の、まさに安全地帯です。隣国での危機や情勢は、この地域でギリシャが安全な国であることをより浮き彫りにしました。我が国は、経済難から徐々に抜け出している現状からみて、将来は明るい展望が期待できると思います。経済や社会の広い範囲で直面する不利や苦境により、我々はより強く賢くなりました。結果を出すためには多くのなすべきことが求められていますが、今それを実行しているところです。

ありがとうございました。

2018年3月・東京
Photos: Junko Nagata / GreeceJapan.com

駐日ギリシャ大使館と埼玉県・三郷市によるプログラムはこちらから

永田 純子

永田 純子

GreeceJapan.com 代表。またギリシャ語で日本各地の名所を紹介する  IAPONIA.GR, 英語で日本を紹介する JAPANbyweb 、および 英語版ニュースのGreek.world の共同創設者。

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